2016/08/31 UE4.13のPreview 3が既にリリース済みですが、現状公開されている情報から追加される予定のメジャーな機能を紹介していこうと思います。これらの情報は主にUE4の公式フォーラムとYouTube上にある4.13の機能を解説しているLiveStreamからのものです。詳細は以下に。
それでは早速紹介していきたいと思います。gif動画画像が多いので開く際には注意してください。
シーケンサーの改良
文字通りシーケンサーが4.12から更に改良されています。新しいファイル形式(.cmx/.edl)でのインポート・エクスポートに対応。そちらにあまり詳しくないので合っているかはわかりませんが、AdobeのPremiereやAfter Effectsなどのツールとのやりとりをしやすくなるためかと思います。より動画ツールとしての側面が強く。
次にバーン・インというテキスト?を画像として埋め込んだ状態でエクスポートできるという機能。この辺りも詳しくないのでわかりませんが、おそらくカット編集などではきっと役に立つものなのではないかと思います。
そしてシーケンサー・レコーダーの改良。これの詳細は以下を読んでもらうのが一番早いかと思います。実際にSiggraph 2016ではこの機能を使って、UE4が"Best Real-Time Graphics and Interactivity"という賞を受賞しています。
メディア・フレームワークの改良
これもひとつのツール部分ですが、今まで割りと制約が多かったりで何かと不便な部分も多かった"メディア・フレームワーク"ですが、今回大幅にアップデートされており、機能面でもかなり増えています。
主な改良部分。
・APIの簡素化
・改善されたインポート・ワークフロー
・改善されたブループリントとの統合
・複数のメディアソースを管理できるプレイリストアセットの追加
・GPU上でのピクセルフォーマット変換
・動的なビデオサイズ変更
・HTTPを使ってライブストリーミングのサポート
・H.264形式の動画をサポート
・全体的な安定性の向上
などなど色々とあります。特にH.264は高品質で一般的によく使われているコーデックなので嬉しいところ。AndroidなどでもHTTP経由で動画を再生できるようになるのは良いです。
プロシージャルメッシュ・スライシング
名前の通り、プロシージャルにメッシュを切断したりすることができる機能です。これは実際に動画を見た方が早いかと。上記が実際にメッシュを切断している動画です。
Alembicインポーター&頂点アニメーションのサポート
Alembicという、映像の業界では一般的なジオメトリーキャッシュを利用した複雑なアニメーションを持つメッシュをインポートすることが可能となります。まだ実験的な機能となるので、不安定だったり、完全なアニメーション再生ができなかったりと問題はありますが、今後はどんどん最適化も行われるようで期待される機能です。
物理アニメーションコンポーネント
物理アニメーションをサポートするコンポーネントが追加されます。これは既存のアニメーションを再生したまま、物理アセットツールでセットアップしたコリジョン情報を利用して、物理的な動きをさせたままアニメーションを行わせることができます。VRなどでは特にリアリティな動きが必要になってくるので、重宝するはずです。
ポーズアセットの追加とそれを用いたフェイシャルブレンドアニメーション
ポーズアセットと呼ばれるものが追加されます。ポーズアセットはアニメーションシーケンスから作成したり、ペルソナ上で作成したりできるようです。そのポーズアセットを利用して、フェイシャルアニメーションをボーンの情報から変換してモーフターゲットと同じように利用することができるようです。
アニメーションノードでブレンドされる前と後のアニメーションの確認
アニメーションブループリントでアニメーションをブレンディングした結果のアニメーションを再生しながら確認できるようになります。複数のブレンドされたアニメーションをされる前とされた後で両方を同時に比較しつつ、ブレンド結果も確認が可能になります。複雑なブレンドでどのようにアニメーションが変化しているのかを確認する際に便利です。
ポーズ駆動アニメーションノード
上記で少し紹介した、ポーズアセットを利用したアニメーションが可能となるノードが実験的に追加されます。RBF(放射基底関数)を利用して、一定の範囲内を動かすことができるようになります。Mayaなどで作成可能なポーズ空間デフォーマと同じことができるようです。
メッシュプレビューシーン
スタティックメッシュとスケルタルメッシュのエディター内でプレビューできるシーンが追加されます。キューブマップの設定や簡単なライティングやポストエフェクトも設定可能になるようです。今までは固定のライティングでしか確認できなかったのが、ポストエフェクトなども設定できるようになるので、セルシェーディングなど専用の見た目になる場合には確認がしやすくなりそうです。
VRテンプレートプロジェクトの追加
VR用のテンプレートプロジェクトが追加されます。このテンプレートには既に手の動きのインタラクション、ワープによる移動など今後VRで頻繁に利用されるであろう機能が標準で搭載されており、VRゲームやデモを作成する際の大きなコストダウンに貢献するはずです。
VRエディターの改善
VRエディターに様々な改善が入っています。
まずVRエディターを起動中にそのまま、ゲームのPLAY、つまりエディターモードから直接ゲームモードに切り替えが可能となります。これでいちいちレベルを編集後にPLAYボタンを押さなくてもよくなります。
次にVRエディター上で、直接テクスチャーやメッシュペイントが可能となります。VR上で直感的に操作できるので、通常のテクスチャーペイントよりも楽しく作業できるはずです。またフォリッジもVRエディターで直接扱えるようになります。ランドスケープのVRエディター対応は4.14からになるようです。
VRエディター上でカラーピッカーが利用できるようになります。またトランスフォーム用のギズモが改善されて、今までよりもスナップの動きなどがVR上でも操作しやすくなっているようです。
VRエディター上でフラッシュライトで周りを照らすような機能やVR上から直接スクリーンショットを撮る機能も追加されます。ここらへんはどちらかと言うと便利機能といった感じになりそうです。
ウィジェットインタラクションコンポーネント
3D空間に配置できる3Dウィジェットに対して、様々な操作が可能となるのウィジェットインタラクションコンポーネントが追加されます。これはVR以外でも利用可能なようですが、VRでこそ最も真価を発揮できるコンポーネントになりそうです。
Paper2DスプライトをUMGのUIで利用可能に
少し地味なところですが、Paper2DスプライトをUMGのUIとして配置可能となるようです。今まで出来ると嬉しいな~という機能がやっと出来るようになったという感じです。
Apple TV(tvOS)をサポート
Apple TVには既に対応済みかと思ってましたが、どうやら4.13から正式?に対応のようです。周りでもApple TVを使っている人はほとんど見かけませんが、使えるようになるということは要望があったのでしょう。
モバイルでカスタムポストプロセスが利用可能に
モバイル端末でポストプロセスマテリアルが利用可能になります。正直これはかなり大きい変更です。MobileHDRを有効化する必要があります。また非モザイクデバイスである必要があるようですが、モザイクデバイスというのが調べてみても、今ひとつわからず…どこまでのポストプロセスが可能かはまだわかりませんが、モバイルでの映像表現が大きく変わることは間違いありません。
ネットワークリプレイの後方互換性
今までではネットワークリプレイを作成してから、新バージョンなどを導入するとリプレイの互換性がなくなっていたようですが、4.13からは古いバージョンのリプレイも再生ができるようになるようです。まだリプレイはそこまで使っている人は少ないと思いますが、互換性が増えるのは嬉しいことです。
ライントレースからTexture座標がとれるように
地味なところかもしれませんが、ライントレースからTexture座標が取得できるようになります。これで、視線の先にある該当Textureの位置を動かしたり、何かしらのインタラクション効果を演出したりできるようになるはずです。
ブループリントからレンダーターゲットで描画可能に
ブループリントから直接レンダーターゲットにアクセス可能なノードが追加されます。レンダーターゲットにアクセスできるということはフレームバッファを利用した様々な変化を与える演出が可能となります。実際にどのように利用できるか詳しくはわかりませんが、マテリアルのエミッシブカラーを利用することで可能となるようです。
2Dシーンキャプチャーの改良
2Dシーンキャプチャーに様々な改良が加えられます。プロジェクションタイプを指定できたり、特定のアクターのみを描画する、しないの選択や、指定したバッファーモードでのキャプチャーなど細かい用途に対応可能となります。
キャッシュされたシャドウマップ
ポイントライトやスポットライトが動いていない場合、そのライトで生成されたシャドウマップを保存して、次のフレームで再利用できるようになります。実際にどこまで効果があるかはわかりませんが、ステーショナリーライトやムーバブルライトではいくつかのシャドウ負荷が落ちることになると思います。
その他
他にも色々とあります。
・アニメーションブループリントを分割可能できるサブアニメーションブループリントの追加
・MacのMetal上でシェーダーモデル5のサポート(これでWindows上とほぼ同じレベルに)
・モバイルでのライトチャンネルのサポート
・Androidでの複数端末の同時起動や自動テスト機能の追加
・Android上でOpenGL ES3.1を利用したパッケージ化が利用可能に
・クラウドを利用したモバイルパッケージングウィザード
これ以外にもおそらくまだまだあると思いますが、主要機能ではおそらくこんなところです。UE4.13は今週末のどこかで正式版が来ると思いますので、楽しみに待っていましょう。