Let's Enjoy Unreal Engine

Unreal Engineを使って遊んでみましょう

UE4.14で追加される注目の新機能について

9月にUE4.13がリリースされたばかりですが、既にUE4.14があと2~3週間以内にリリースされると言われています。

というわけで、注目の新機能についてをまとめてみました。内容自体はUE4公式のTwitchライブストリーミングのYouTubeアーカイブ上のもので確認できますので、ゆっくりと見たい方は以下をどうぞ。画像がとても多いのでモバイル回線で見る場合は注意してください。

www.youtube.com

それでは早速見ていきましょう!

Visual Studio 15に対応


次期Visual Studio 15に早期に対応されます。

f:id:alwei:20161107140211p:plain

次期Visual Studioは正式名称が2016、もしくは2017になると言われていますが、既に早い段階で対応が表明されているのは非常にありがたいです。

自動LOD生成機能の追加


前々回の記事ではSimplygonによるLOD自動生成機能についてを解説しました、それがUE4の標準機能でも可能になります。

f:id:alwei:20161107141615g:plain

これはSimplygonが不要になるというわけではなく、あくまでもSimplygonとは別の機能として利用可能となるので選択肢の幅が広がります。Simlygon自体には様々な最適化機能があるので、必要に応じて使い分けることが可能となります。

スタティックライティングシナリオ


同じレベル上に複数のスタティックライティングを読み込ませることができるようになります。

f:id:alwei:20161107142729p:plain

まずは複数のライティングを別々のサブレベルに分けておき、ブループリントからLoad Stream Levelします。

f:id:alwei:20161107142610p:plain

f:id:alwei:20161107142656p:plain

読み込んだレベルに応じて、違うスタティックライティングを適用させることが可能となります。

今まで微妙に手が届かなく痒いところだったので、こういうのは非常に嬉しいなーと。

フル解像度スキンシェーディング


スキンシェーダーの改良により解像度が上がり、よりリアリティのある絵になります。

f:id:alwei:20161107143108p:plain

ちょっとわかりにくいですが、こんな感じに。

f:id:alwei:20161107143224p:plain

確かに僅かにシャープになった感じはありますね。

滑かな面のリフレクションキャプチャークオリティがアップ


これまでのリフレクションキャプチャーではうまくとりきれなかった、滑らかな面でのクオリティがアップ。

f:id:alwei:20161107143613p:plain

リフレクションキャプチャーはスクリーンスペースゆえに、クオリティが足らない部分も多々ありましたが、今回の改善によりかなりよくなりました。

アクターを配置そのままスタティックメッシュに変換


配置しているアクターを選択したまま、そのポーズをとらせた状態で、位置や向きを持ったままスタティックメッシュに変換できるように。

f:id:alwei:20161107144324g:plain

スケルタルメッシュのアクターを複数選択し、そのままメニューを開いて簡単に変換することができます。どういったところで使うかはまだわかりませんが、色々と用途がありそうです。

NVIDIA Anselのプラグイン対応


NVIDIAのAnselという技術があります。

blogs.nvidia.co.jp

この技術にUE4がプラグインで対応しました。

f:id:alwei:20161107144714p:plain

Anselを使うとゲーム中の様々な状況を画像として残すことが可能です。しかも360度キャプチャーにも対応し、VRヘッドセット上でも閲覧することが可能となります。

対応ゲームは今のところ少なめですが、UE4が対応することで多くの対応ゲームが出てくることになりそうです。

ケーブルコンポーネントで物理シミュレーションが可能に


ケーブルコンポーネントに対して物理シミュレーションをさせることが可能になりました。

f:id:alwei:20161107145159g:plain

UE4には様々な物理ツールがありますが、今回はケーブルのようなメッシュに対しても物理シミュレーションが可能に。ケーブルだけではなくて、鉄の鎖などにも使えそうでなかなか面白そうです。

フォントアウトラインの対応


UMG上で使えるフォントにアウトラインが適用できるようになります。

f:id:alwei:20161107145525p:plain

使い方は非常に簡単で、アウトラインサイズやアウトラインカラーも指定可能です。この機能、ずっと欲しかったやつです。今までは誤魔化しのようにアウトラインを作っていたので、本当に嬉しいところ。フォントのアウトラインがないと文字が視認しづらいんですよね。

MapとSetプロパティのエディター対応


C++で利用可能なTMapとTSetのコンテナのプロパティ編集がエディター上で利用可能となります。

f:id:alwei:20161107145937p:plain

これも待望の機能のひとつで、データ構造の持ち方が大きく変わります。これまでは通常の配列のみしか対応していませんでした。

当然ブループリントでも利用可能となりますが、まだ実験的な機能となっているので、全ての機能が正式に使えるようになるのは次の4.15になるかもしれません。

ベクトルノイズマテリアルノー


新しいノイズマテリアルノードにベクトルノイズが追加されます。

f:id:alwei:20161107150245p:plain

これまでもボロノイなどのノイズノードがありましたが、ベクトルベースのノイズノードは始めてかな?新しいノイズの色々な表現に使えそうです。

連続的なコリジョン検出


PhysXが3.4にアップデートされて、連続的なコリジョン検出が可能になります。

f:id:alwei:20161107150810g:plain

衝突後に反動で返ってくるような動きが作成可能になります。エピック新作のRobo Recallでもこの表現が使われているようですね。面白い動きが作れそう。

ペルソナアニメーションエディターの大きな改良


ペルソナアニメーションエディターがかなり大がかりに改良されます。

f:id:alwei:20161107151032p:plain

同時に複数のウィンドウを開くことができるようになったり

f:id:alwei:20161107151407p:plain

変数の設定をプレビューシーンにすぐ適用させることができるようになったり、いくつかのUIが大きく変わっています。

f:id:alwei:20161107151525p:plain

プレビューのモーフターゲットの値を一度に複数を動かせるようになったりできるようです。

ランドスケープのスカルプトがVRエディター上で可能に


4.13でもフォリッジやペイントなど一部の機能が対応していましたが、4.14ではランドスケープのスカルプトも可能に。

f:id:alwei:20161107151903p:plain

VRエディターの操作は非常に直感的ではあるので、このような機能はどんどんVRに対応してもらいたいですね。

Android上でのVulkan対応


今までずっとPreview状態だったVulkanが正式に対応しました。

f:id:alwei:20161107152521p:plain

これまでもVulkan対応は行われていましたが、今回のアップデートでVulkanがより安定して多くのAndroid上で動かせるようになります。具体的にどの端末がVulkanに対応しているかなどはまだこれから。

General MIDIプラグインの追加


General MIDI規格に対応したMIDIプラグインが追加されます。

f:id:alwei:20161107153929p:plain

MIDIというと音声を操作する仕組みのように見えますが、通信プロトコルの一種でもあるので、デバイス間通信によりハードウェア上からデジタルデータを受けとって、UE4上で変化を与えるといったことが可能となります。UE4上でデジタルシンセサイザーを作るといったことも可能になるでしょう。色々な使い方が期待できます。

車の車輪挙動の改善


車の動きの要となる、車輪の動きがかなり改善されています。

f:id:alwei:20161107154600p:plain

曲がった際にもう片方の車輪の車体が浮くようになっていたり、見た目では大きな違いがあります。最も現実ではこんなに車体は浮かないと思うので、どちらかと言うとゲーム的な動きであると言えます。

ライブGPUプロファイラーの追加

これまで瞬間的なプロファイリングしかできなかったGPUプロファイラーに継続的なプロファイルがとれるGPUプロファイラーが追加されます。

f:id:alwei:20161107155003p:plain

コンソールコマンド"stat GPU"で一覧表示、"stat StartFile"でグラフビューが開始され、"stat StopFile"でプロファイルが停止します。これは最適化をする上で大きな助けになるはずです。非常に期待の大きい機能です。

フォワードシェーディングレンダリングとMSAAの追加


今回とても大きい追加となるトピックとして、正式にフォワードシェーディングのレンダリングが追加されます。またそれと同時にアンチエイリアスにMSAA(マルチサンプルアンチエイリアシング)が追加されます。

f:id:alwei:20161107155433p:plain

エピックゲームズ新作のRobo Recallでも活用されています。フォワードはライティングの面で大きく不利な面がありますが、VRではまだ過負荷となるライティングが活かしきれないところがあるので、フォワードシェーディングの方が高速という実情があります。

UE4はこのためにVRでは本領発揮ができずにいる場面がありましたが、今回正式に対応したためにVRでも約22%ほど高速化したようです。ただし、フォワードシェーディングを利用すると、これまで可能だった表現の一部ができなくなります。なので一部フォワード用に対応の必要があります。

フォワードシェーディングはVRゲーム以外でも有用な面があるので、今後はこの面を活かしたゲームもでてくるといいなと思います。

コンタクトシャドウ(接触影)の対応


コンタクトシャドウというものが落とせるようになります。

f:id:alwei:20161107160314g:plain

コンタクトシャドウというのはすでに影が落ちている部分に更に追加で影を落とすようなことができるようになります。

f:id:alwei:20161107160431p:plain

"Contact Shadow Length"という設定でどの程度の強さで落とすのかも設定できるようです。

その他


この他にもまだまだいろいろとあります。

f:id:alwei:20161107160615p:plain

"Event Driven Loader"や"Virtual skeletal bones"など気になるワードがいろいろありますね。この辺りは正式なリリースノートがでてから追っていきたいなと思います。

UE4.14正式版は早ければ今月中にリリースされる予定です。