去ること2022年2月19日(土)にUnreal Engine公式イベントである『UE4 Manga Anime Illustration Dive Online』が開催されました。私も講演側で参加させていただきました。
主催側も予想しなかったほどに大盛況で約1000人近い方がライブで観られていたようです。私の講演についてもそのうちにスライドなどが公開されると思いますので、そちらも合わせてご覧ください。
動画&スライド追加
さて、今回のブログ記事では超高性能なポストプロセスアセットである『Chameleon Post Process』について講演の中では語りきれなかったTIPSを更に解説してみたいと思いますので、ぜひイラスト制作などで活用してみたい方は参考にしてください!
Chameleon Post Processとは
まずChameleon Post Processとは少しだけ解説しますと、Unreal Engineマーケットプレイスで販売されているアセットです。
使い方が超簡単でしてプロジェクトに追加後BPアクターとして『Chameleon』をレベル上に配置するだけですぐに使えます!
お手軽すぎて感動すら覚えますね!配置後は各エフェクトがカテゴリーごとに分かれていますので、チェックをオンオフするだけですぐにエフェクトの確認が可能です。それでは早速少し応用的な使い方を紹介しましょう。
ブレンドモードを活用しよう
いきなりブレンドモードって何?って思われるかもしれませんが、Photoshopやクリスタで言うところのレイヤーの『合成モード』のことです。各エフェクト内に『Advanced』という▶印を押すことで出現する追加メニューがありますので、そこから『Blend Mode』を選択することで設定可能です。
このブレンドモードはほぼほぼPhotoshopやクリスタと同様の合成モードが存在します。英語になっている部分を日本語に翻訳すると…
Normal → ブレンドなし(デフォルト)
Color Burn → 焼き込みカラー
Color Dodge → 覆い焼きカラー
Exclusion → 除外
HardLight → ハードライト
Linear Burn → 焼き込み(リニア)
Linear Dodge → 覆い焼き(リニア)
Linear Light → リニアライト
Pin Light → ピンライト
Soft Light → ソフトライト
Screen → スクリーン
Lighten → 比較(明)
Darken → 比較(暗)
Overlay → オーバーレイ
Multiply → 乗算
と、いうようにペイントソフトでは割りとお馴染みの合成モードがあるということがわかると思います。つまり効果もそれらのソフトとほぼ同様ということになりますね。
例えば『Neon』というエフェクトを使うとこのような画面になります。
ちょっと何がなんだかよくわかりませんね…
でもここでBlend Modeを『Screen』にするとこうなります。
画面にスクリーンの合成が入り、イイ感じにブレンドされていることがわかると思います。もちろんこのまま使うかは別ですが、他のブレンドモードも同じ感覚で使うことができますので、様々な応用が可能だということがわかるかと思います。ぜひブレンドモードを活用してみましょう!
魚眼レンズ効果がとにかく使いたい!!
イベント中でも魚眼レンズ効果について何度か触れていました。魚眼レンズは思っている以上に需要があるんだなと感じましたので、具体的にどの設定をすればいいの!?っていう方のためにここで改めて解説しておきます。
まずChameleon Post Processの中で魚眼効果を得るためには『Monitor Effects』というエフェクトをオンにする必要があります。ただしこのエフェクトは名前の通り本来はアナログテレビのような走査線効果が入るのがメインとなっており、実は魚眼レンズ効果の方がオマケだったりします。なので魚眼だけが欲しい場合には少し設定を弄る必要があります。
まずはMonitor Effectsをただオンにしただけの状態です。
これだと走査線が入ってしまいますね。詳細から設定を弄りましょう。『Monitor Effects Intensity 1』と『Monitor Effects Intensity 2』をそれぞれ『0.0』に設定してください。これで魚眼レンズ効果だけになるはずです。
素晴らしい!より強い魚眼レンズ効果が欲しい場合には『Monitor Effect Picture Scale』などを弄ってみてください。極端な魚眼レンズ効果を得ることもできるはずです。
カスタム深度のマスクを使いこなそう
講演の中でも紹介しましたが、高解像度スクリーンショットを使う際に配置されているアクターに対して『Render CustomDepth Pass』というチェックをつけておくことで、対象だけをマスクしてスクリーンショットを撮ることができます。
このように設定しておいて、高解像度スクリーンショットで『マスクとしてカスタム深度を使用』にチェックするだけでその対象のみをスクリーンショットに含めることができます。
マスクして撮影した後に背景を撮影する時には元のマスクされたアクターは非表示にしておきましょう。
そしてこのカスタム深度はChameleon Post Processにもしっかりと使えます!!各エフェクトの『Advanced』内には『Custom Depth』というチェックが存在しています。これにチェックをつけてみましょう。今回は『Blur』というエフェクトに対して設定してみます。
カスタム深度が設定されているアクターにのみ、エフェクトがかかりました。これだけでも使い方があるのがわかると思います。更にその設定のままで『Invert The Custom Depth Mask』にもチェックをつけてみましょう。
このようにカスタム深度が設定されているアクターのみエフェクトがかからないようにすることも可能です。このマスクを使うことでエフェクトをかける対象をうまく指定できますので、必要に応じてエフェクトをかけてみるようにすることでより使いやすくなるはずです!
Look Color Gradingを更に使いやすく
講演の中でも解説させていただいた『Look Color Grading』ですが、実はこのアセット自体が単体で販売されています。既にChameleon Post Processに入っているので、別に必要ないのですがこのアセット単体で買うと少しだけ嬉しい特典あります!
実はこのアセット単体で買うと、エディターユーティリティというものがついてきて、CLTの切り替えとイメージ確認が必要に簡単になります!使い方はポストプロセスボリュームを1つ以上配置しておいて、メニューから『ウィンドウ』→『エディタユーティリティウィジェット』→『LOOKUtility』を選択すると、新しいウィンドウが開きますので開いたウィンドウから対象となるポストプロセスボリュームを指定して、あとはプレビューから自分が使いたいと思うCLTのイメージを選択するだけです!
実際に使っているところのイメージ動画を撮ってみました。
昨日講演でお勧めしていたChameleon Post ProcessのLook Color Gradingですが実はコレ単体でアセットが販売されており、単体版では便利なエディターユーティリティーがついておりプレビュー含め確認が凄く楽になります!もし追加でお金払う気があればどうぞ! #UE4 #UEArt2D https://t.co/TqyBAbj6tl pic.twitter.com/auJ9naaT56
— alwei (@aizen76) 2022年2月20日
プレビューを見ながらクリックだけで適用できるので、毎回ひとつひとつを大量の項目から選択するよりもかなり楽ですね。ただこれだけのために単体で買うほどの魅力はさすがにないかもしれませんので、もし!少しでも楽にしたいという欲求があればどうぞ!私はこの検証のためだけに購入しました。
まとめ
Chameleon Post Processは本当に優秀なエフェクトパックです。これだけでも相当な絵作りが可能なはずです。Photoshopのフィルターだけでは実現できないようなエフェクトもありますので、ぜひイラストなどを描く際に有効活用していただければ幸いです。