現在Game Developer Conference 2017が開催中です。
毎年ここではゲームデベロッパーが沢山の講演を行い、様々な新情報が飛び出します。今回は2017年の基調講演のひとつ「State of Unreal」を振り返ってみましょう。
ゲーム以外での活用事例が一気に増えた
まず最初にゲーム以外での活用事例についての話が沢山でてきました。
舞台演劇の中の演出にUE4のレンダリングとモーションキャプチャーを利用して、俳優が演じているキャラをその場で合成してリアルタイムにレンダリングしたものを大きなスクリーンに投影しているようです。
このような演出は俳優の生の演技に対して、更に豪華な演出を付け加えることで様々な可能性が広がります。今まで難しかったSFやファンタジーのような世界の演劇も変わりますね。
映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の中で、実際にUE4のリアルタイム映像が使われたとか。映画の方は観ていないのでわかりませんが、もうこの規模の映画作品でゲームエンジンのリアルタイム映像が使われているというのが驚きです。
また映像の事例としてはヒストリア&ポリゴン ピクチャーズ共同のアニメーション作品となるLayereDも紹介されていました。
実写映像だけでなく、日本らしいアニメ作品でも確実にUE4が広がってきています。
これはUE4でARマーカーを用いて、実写の車のモーションをキャプチャーして、そこにリアルタイムで合成するというものです。映像自体はもちろんリアルタイムなので、ライティングなどの計算もリアルタイムで行われますが、既に現実の映像との違いがわかりません。
この作品は実写合成ですが、エフェクトの合成もAfter Effectsなどを使わずにUE4内で完結しています。よく見るとCascadeに代わる新パーティクルツール、Niagaraを使っているのがわかります。
さりげなくNiagaraの一般映像公開は初ですね。まだ今回のGDCではNiagara自体には触れられていませんが、今年のどこかの早いタイミングで使えるようになるはずです。楽しみですね。
会場では実際にリアルタイムにARで合成されている映像も流れていました。ARやMRはMicrosoftのHoloLensの存在もあるので、UE4側にもぜひこれらの機能の統合が欲しいところです。
もちろんゲームに対しての手厚いサポートも
UE4での映像作品は広がりを見せていますが、もちろんゲームへのサポートも忘れられていません。
Nintendo SwitchはニンテンドーオブアメリカのCOOであるレジー社長自らがビデオメッセージを送っています。真・女神転生のようなタイトルが既にUE4で制作されていることが明かされていますが、今後も更にUE4を使っている作品が増えることでしょう。
リネージュ2 レボリューションは既に韓国で配信中ですが、そのクオリティの高さと、とんでもない規模での展開の広さが話題になっています。なんと500万人のプレイヤーがいるそうですが、韓国が5000万人という規模の国ということを考えると恐しい数字であることがわかります。日本にも近いうちに来ると思いますが、果たしてどこまで成功するのかは見物です。
VRの標準規格となるOpenXRにも対応する姿勢を見せています。OpenXRはVRだけではなくARにも対応した規格です。詳細は以下の記事がわかりやすいです。
まだ発表されたばかりの規格となるので、これからどのようになっていくのか注目です。
ボーダーランズシリーズなどで有名なGearbox社が現在UE4を使ってどのような研究を行っているのかを実演にて公開していました。
ボーダーランズシリーズは昔から独特なNPRなシェーダー表現をしている会社であり、次回作でもそれは変わらないようです。
日本人が知っているセルシェーディングとはまた違いますが、これは同じNPRでも表現手法として非常に興味深いものです。実際のゲーム作品でどのように活かされるのか非常に楽しみです。
VRエディターの進化とRobo Recallのリリース!
昨年のGDCで一般公開されたVRエディターですが、今年は更に進化しています。
UE4 VRエディターの新しいWindowやラジアルメニュー。#GDC17 #UE4 pic.twitter.com/QxKd4P8WDs
— alwei (@aizen76) 2017年3月2日
Windowやメニューが刷新されて、いわゆるラジアルメニューになりました。
UE4 VRエディター内でシーケンサーを使って演出を作る。 #GDC17 #UE4 pic.twitter.com/SVKdpZLsot
— alwei (@aizen76) 2017年3月2日
更にシーケンサーが使えるように。普通にVR内で編集できる!!
UE4 VRエディターでメッシュを編集してモデリングをしてる。 #GDC17 #UE4 pic.twitter.com/oM5ToKD5ZQ
— alwei (@aizen76) 2017年3月2日
そして極めつけはメッシュの編集機能。モデリングですね!これはVRエディター以外でも欲しい!!
UE4 VRエディターで編集中からスムーズにゲームプレイへ移行。サーフィンで波乗りw #GDC17 #UE4 pic.twitter.com/1Q9aUkpWUt
— alwei (@aizen76) 2017年3月2日
最後にサーフィンして波乗りをして終了。
VRエディターの進化がすごい。そしてここから更に大発表が…
Upgrade your gaming experience for less. Oculus Rift + Touch is now only $598. https://t.co/61UwyPue2M pic.twitter.com/OtnVKQrafL
— Oculus (@oculus) 2017年3月1日
Oculus Rift + Touchがセットで598ドルまで値下がりするという発表がなぜかEpic Gamesの基調講演内で行われるという。日本円でも3万円以上お安くなりました。買うなら今!
Robo Recall released for free! - https://t.co/NpjsOimBTR pic.twitter.com/Yt3XP5MGgs
— Unreal Engine @ GDC (@UnrealEngine) 2017年3月1日
最後にEpic Gamesが本気で作っていたVRFPSであるRobo Recallが正式にリリース!!しかも無料です!!本当に怒涛のように発表!
Robo RecallにはMOD用エディターもついており、全てのアセットや機能がフルに公開されています。これはすごい!!ぜひ触ってMODで勉強してみましょう。
大きく新しい方向性を見せるUE4
今回の基調講演ではUE4の新機能を魅せるというわけではなく、どんどんやっている新しいことを公開していくという感じでした。特にゲーム分野以外での活用方法が目覚ましいですね。
もちろん個人的にはゲームが大好きなので、ゲーム部分もちゃんと忘れずにしっかりとやっているのもわかります。Epic GamesはRobo Recall以外にもBattle Breakersという新作モバイルゲームも発表しています。
こちらもいい意味でEpic Gamesらしくないタイトルです。まだ日本からではプレイできませんが、公開されたらぜひやってみたいと思います。
これ以外の新機能についての発表も色々ありましたので、別の記事でまとめたいと思います。