Let's Enjoy Unreal Engine

Unreal Engineを使って遊んでみましょう

アンリアルフェス大阪とヒストリアUE4京都勉強会に参加しました

前回お知らせした通り、アンリアルフェス2016大阪とヒストリアUE4京都勉強会に参加してきました。私が発表したAIのセッションのスライドは以下にありますので、ぜひ参考にしてください。

www.slideshare.net

比較的わかりやすくUE4のAIについてを浅く広く解説してみたつもりです。
ここを切っ掛けにUE4のAIをもっと使いこなす人が増えてくれると嬉しいです。

さて以下からはアンリアルフェスとヒストリアUE4勉強会で印象に残っているものの感想を語りたいと思います。

Technical Art of Street Fighter V

カプコンさんの大人気タイトル、ストリートファイターVのアートのお話。

以前別の勉強会でも似たようなお話をされていましたが、今回はUE4の部分にグっとフォーカスした内容でした。
まさかのストリートファイターVのUE4プロジェクトを持参しての登壇!なかなか大手ゲーム会社でここまでのことができるところはないと思います。

プロジェクトはUE4.7.6でFix。ノンフォトリアルでかつ独自のアートスタイルを模索するための様々な試行錯誤が行われていたことがわかります。
そしてただアートを追求するだけではなく、しっかりと格闘ゲームとして遊びやすいものを目指すようにライティングやカメラ、ポストエフェクトで相当の調整を入れていることを語っていただけました。

擬似的なライトベクトル計算、ノーマルマップを加工し更にフィルターをかけることで印象の強い油彩を表現、カメラのパースペクティブを調整することにより、平面的だけど3Dとして機能するなど非常に沢山のテクニックがあったことがわかります。

他にも語られていませんでしたが、アンリアルエディターがかなり拡張されていました。格闘ゲーム用にすぐ調整環境が用意できる仕組みがあったんだろうということが推測できます。
AAAクラスタイトルでの事例としては最もオープンに語ってくれたカプコンさんに感謝です。

スクウェア・エニックスにおける UNREAL ENGINE 4 を用いた人工知能技術の開発事例

実は僕の講演がAIになったのとスクエニさんの講演がAIになったのは全くの偶然です。
しかし結果的に自分の内容が入門的な内容となり、スクエニさんは更に発展してテクニックの解説をしてくれたおかげでAIに対する理解度は増したのではないかと思います。

ビヘイビアツリーは当然として、EQS(環境クエリーシステム)も当然のようにフル活用。特に凄いと感じたのはAIを自動テストするというところでした。
AIというのは最もテストしづらい要件のひとつです。そのAIをブループリントを用いて自動的な地形生成を行い、あらゆる環境でも問題が発生しないように動かすというところです。
これは実に目から鱗でした。大型のゲームタイトルでは確かにとても有用です。

ゲームIPのアセットを使用していたわけではないので、後でスライドやビデオ公開もあると思います。他にも注目ポイントが沢山ありましたので、ぜひ一度見てみてください。

VR×ロボ×美少女! UE4におけるVR向けの絵作りと最適化

"VR Zone Project i can"というイベントで絶賛稼働中の"ARGYLE SHIFT"というVRゲームの開発事例です。

登壇者はUE4デベロッパーとして有名なヒストリアさんの原さん(Art)と原さん(PG)というコンビ。
私はこのゲームをやったことがないので、直接的な感想は上げられませんが事例の話を聞いていてもとても完成度が高いな…と感じました。

90FPSを死守するための最適化の話。CPUとGPU両方での問題点を解決するというのは実に開発現場で役立つ知識です。そういう私も昔いた会社ではそんな最適化を色々とやっていたのを思いだしながら聞いていました。

最終的にC++なしでブループリントのみでロジックが構築できたというのは大きな実績です。もちろんC++を使うなというわけではありませんが、単純な速度を出すためだけにC++を使う必要はないということです。

とにかくVRはもちろん、UE4で開発する際の最適化話としてどれも非常に役立つ内容だったので、今後も参考にさせていただきます。

Realtime Cinematic Future: シーケンサーの登場

多くは語るまい…しかしロブさんのキャラクターもあって最高に笑いの絶えない講演でした。

シーケンサーは本当によくできているツールです。
まだまだ有効活用の方法があると思いますので、この講演のビデオが公開された時にはぜひ一度見てもらいたいと思います。

プランナーだからこそ、UE4でゲーム制作 ~新人プランナーの挑戦~

ここからはヒストリアさんのUE4勉強会の内容です。

入社して数ヶ月のプランナーが実質ひとり(もしくは数人)で短期間でゲームを作ることになったときのお話です。

プログラム知識もないのにスマートフォン向けタイトルを作ることになってどうすればいいのか?というところで非常に参考になりました。

もちろん最初は厳しいかなと思ってみていたのですが、出来上がったものを見てみると非常に完成度の高いゲームになっていて驚きました。

新人でしかもプログラム知識がない人でもここまで出来るんだ!という大きな実績となったと思います。

アーティストが入社一ヶ月で一人でゲームを作ってみた。

こちらもひとりでしかもアーティストがゲームを一ヶ月で作ってみたというお話です。

講演者の黒澤さんはアーティストとしての経験は長いですが、プログラム経験は皆無。簡単なスクリプトくらいしか書いたことがない程度だったので、最初は苦労されたようですが、一度ぷちコンを通じてゲーム制作をしていた経験のおかげでとても完成度の高いゲームを完成することができたようです。

完成した『KNIGHT FLIGHT』というゲームは企画内容、さらにアート共にレベルが高くて、それをしっかりとモバイルでも遊びやすい形に落としているのはさすがだと思いました。

ひとつ前の講演で発表された『SPACE PENGUINS』と『KNIGHT FLIGHT』は今夏配信予定らしいので、ぜひ配信された際には遊んでみましょう!

モバイル自社タイトル2作発表! 「スペースペンギンズ」&「Knight Flight」予約開始! | historia Inc - 株式会社ヒストリア

VRコンテンツ開発を加速する! シーケンサーを使った無駄のないワークフローと最適化

またまたアンリアルフェスでも登壇された原原コンビの講演です。
終始笑いの絶えない内容で、色々とプライバシーは大丈夫なのかと心配していましたが、内容自体はとても濃いものでした。
アンリアルフェスではロブさんがシーケンサーの解説していましたが、それを使った具体的な事例でしかもVRという最後を飾るには十分すぎるモノでした。

シーケンサーでマテリアルパラメーターコレクションを利用するためのエンジン拡張を行い、それを使ってどういう演出や絵作りを行ったのか非常にタメになる内容でした。

特にVR上で輪郭線が視差の問題で認識しづらいという問題を「では視差がなくなればいいのではないか?」という理由で平面化して球面状にするというの発想は本当に思いつきませんでした…

この手法は残念ながら採用されなかったそうですが、とても可能性を感じることができたと思います。何かしらどこかで活用されるといいですね。

大満足な二日間

大阪と京都で二日間にかけてとても素晴らしい内容の勉強会が開かれ、本当に充実していました。

このような勉強会を開いていただいたエピックさんとヒストリアさんには本当に感謝です。

次回の東京や横浜の方でも期待しています!!